秋田のブランド豚、八幡平ポークを使用
当店のチャーシューの原材料は鹿角で生産されるブランド豚「八幡平ポーク」
八幡平ポーク 農事組合法人八幡平養豚組合の組合長を取材してきました。
鹿角での養豚業のはじまり
日本人1人当たりの1日の豚肉消費量は約32g、単純計算すると1年間で約11,7kgを消費していることになる。皆さんはこのことをご存じだっただろうか?
昭和44年、米農家を営んでいた阿部正樹さんの父は冬の間、出稼ぎに行くことなくその地で行える業として養豚を始める。農業をしながら庭先で数頭から始まった養豚は、現在、年間36,500頭を出荷するまでに成長した。
二代目の正樹さんの想い
二代目となる阿部正樹さんは大学を卒業するまで養豚を継ごうとは考えていなかったそうだ。幼い頃は養豚の臭いなど近所の住人から苦情が出ることもあり、なんでうちの親はこんな嫌われる商売をやっているのだろう、と思っていた。大学を卒業し、ハイポーと呼ばれる豚の種類を扱うメーカーに就職した。その時、オランダにホームスティする機会があり、そこに住む人々の養豚に取り組む姿勢を見て、養豚業をやりたいと感じたのだ。
八幡平ポークがブランドとして市場に出始めたのは約20~25年前のことである。始めはスーパーに卸す際に名前があった方が販売しやすいということから、「八幡平ポーク」と名付けられた。当初、県外に向けて東京などのいろんな市場に出荷していたが、15年前に出荷のメインを秋田県内へ。八幡平ポークの名前が盛んに聞こえてきたのは10年ほど前からだった。
何故、首都圏から秋田県内に市場を変えたのか? それには正樹さんの想いがあった。地方の名物に限って地元の人は食べていないことが多い……だが、それは本当に名物と呼べるのか。正樹さんは八幡平ポークが地元の人に喜ばれる名物になってほしいと考え、地元の人にいっぱい食べてもらおう、喜んでもらおう、と市場のメインを秋田県内し、直接販売を始めたのだ。
直販をすることで変わったこともあった。自分の作ったものをすぐに販売し直接お客さんと関わるので、お互いの顔がきちんと見える。売る相手のことを考えながら豚を育てるようになったのだ。今までは肉のつき具合を考えていたが、売る相手がいると自覚することで肉の状態や味まで考えて育てるようになった。また、「美味しい」というお客さんの声を聞くことで社員の仕事のやりがいにもつながる。
八幡平ポークの美味しさの秘訣
八幡平ポークの一番のこだわりは「豚を健康に育てる」。健康に育てるとは当たり前のことかもしれないが、病気もストレスもなく育てるのが一番難しいのだ。
例えば、ブランド化する上で餌を特別なものに変えるのはよく取られる手法だが、八幡平ポークは決まった特別な餌を食べさせるのではない。豚が喜んで食べる餌を食べられるだけ食べさせているのだ。
そして、温度管理。急激な温度変化があると豚たちが風邪をひいてしまったりストレスを感じたりする。だから、豚舎内は1日中ずっと同じ温度になるよう温度管理がされる。臭いや環境にも配慮されている。副産物として生産される糞尿は浄化槽で処理され、堆肥センターで堆肥化。その後有機肥料として地元農家へ還元され、喜ばれている。
さらに、この農場では病気・病原菌を入れない対策もしている。農場が一貫経営なので生まれてから出荷するまでに病原菌に触れる機会がない。その上、外部から入ってくる菌に関しても豚舎への入退室時には入浴や衣服の着替え、持ち込む物は殺菌、トラックなどは車輌用消毒シャワーゲートで洗浄、と完全にシャットアウトしている。また、もし病気になったとしても常駐の獣医がいることですぐに対応でき、豚舎内に病気が蔓延することを阻止するのだ。
何故、ここまでするのか? それは豚が病気になると体内に病原菌と戦った老廃物が蓄積され、肉の臭みになったりアクになったりするからだ。成長も病気になると止まってしまうので長く飼わなければいけなくなってしまう。したがって、八幡平ポークは病気にならない環境で育てることを徹底しているのだ。
秋田の名物と言える八幡平ポーク
このように健康に育てることで豚の肉は格段に美味しくなる。同時に肉質にバラつきがない安心できる豚肉になる。これに気付いたのは生産効率を上げるためにストレスなく、豚の能力を100%引き出すような環境の中で育った豚肉がとても美味しかったからだ。
健康にのびのびと育てることが美味しさの一番の秘訣だったのだ。
健康に生きるためには食べるものも健康に。地元の人や自然を大切にしながら飼育されている八幡平ポークは間違いなく、秋田県の名物だろう。